どうも! とろかふ。です。
私は、一級、二級及び木造建築士のすべての試験を経験し、この度やっと制覇する事が出来ました。これから建築士の試験を受ける方に向けて、私が一級建築士を制覇するまでのエピソードを書き綴って参ります。
これより、覚えている限りで、ちまちまと書き綴って参ります。
これから受験を控えている方のやる気につながるような記事を目指します。
目次
製図試験記
学科試験の翌週には、製図クラスが開校しました。この時点で、製図試験日まで残り3か月弱。がむしゃらに図面を描き始めました。
グループ分け
製図講座が開校すると、3つのグループに分けられていました。年齢層はバラバラで、最高齢は40代半ば、最年少は24歳の方が1人、私と同い年が2人、約12人態勢のゆかいな仲間たちが集結していました。
グループのメンバーは、おしゃべりが多く、他のグループより和気あいあいとしていたため、良いグループになってよかったと安心しました。
図面を2時間で描け
約1か月が経過し、図面を描くのに慣れてきたころ、講師から「図面を2時間で描け」と言われました。
我々は、その時点で無理だと確信していました。なぜなら、3時間かけてやっと描ける程度の実力しか持ち合わせていなかったからです。もちろん、2時間で描く意味はあり、短期間で図面を仕上げるには、これぐらい早く描けるように練習を行う必要があるからです。
自分のプランを描くのではなく、あらかじめ用意された手本を模倣するのに2時間と言う意味ではあったのですが、無謀な挑戦でした。必死の思いで図面を描き終えると、丁度2時間が経った頃でした。いつにない疲労感に苛まれたことを覚えています。
この練習を何度も繰り返し、日によっては2回描くなどハードな日々を過ごしました。
グループミーティング
図面を描き終わるとグループミーティングが始まります。グループミーティングは、楽しい思い出が多いです。人の手書きの図面を見られることや、お互いの良い点悪い点を指摘しあい、経験値として成長を続けることが出来たからです。
時には、人のミスを笑ったり、自分のミスを笑われたりしましたが、そのどれもが良い思い出です。
製図試験本番
学科試験の時と同じように、早朝に資格学校に集合してから、学校側がチャーターしたバスに揺られて会場に向かいました。会場はきれいで、空調も良く効いていたことから、良い会場に恵まれたと感じました。
試験時間が近付き、緊張感が増してきたところに、我々の度肝を抜く事態が発生したのです。なんと、エスキス用紙に敷地図がでかでかと印刷されていたのです。
学校で練習していた時もそうですが、通常敷地図は、課題文の冒頭に小さく印刷されているだけでした。それが、エスキス用紙の左上1/4を占有する大きさで印刷されており、エスキスをするスペースを邪魔するかのごとく鎮座していたのです。
みなが予想をしていなかった事態に、焦りが止まりませんでした。これが、私に大きな影響を与えたのです。
試験終了後
試験終了後、「あれは予想できなかった」とみな口々に語っていました。それもそのはず、この時の出題のされかたは過去に例が無かったからです。エスキスもうまく行かず、作図も最後まで描き切ることができず、どんよりした気分で資格学校に戻りました。
資格学校に戻り、図面の復元を行いました。試験の出題方法にやられ、やる気が出ない状態での復元図の作成作業は、本当に苦痛でした。全く手ごたえを感じられず、「やってしまった…。」としか考えられなかったのです。
合格発表
待ちに待たない合格発表の日がやってきました。手ごたえは感じられなかったものの、「もしかして」という気持ちがあったので、合格者一覧を確認しました。
不合格…。
「やっぱりかー」という気にしかなれませんでした。
不合格がわかると、さっそく資格学校の営業の方から、来年度の勧誘が始まりました。
普段連絡なんかしてこないくせに、こういう時ばかり電話をしてくるので、イライラしました。少しくらい落ち込ませて欲しかったです。まあ、仕事なので仕方がないことは理解しています。
暗い正月
およそ2年に渡り、プライベートを犠牲にしてきて臨んだ建築士試験に不合格となり、暗い正月を迎えました。不合格になったとは言え、やっと試験から解放されたのですが、とても楽しめる正月ではありませんでした。楽しめはしませんでしたが、久しぶりの休息を大事にするため、家に引きこもっていたのを覚えています。
長期製図クラス
暗い正月の間に、不合格になった原因を考えていました。そこで出た結論が、「圧倒的経験不足」でした。それもそのはず、学科試験が終わってから製図試験の本番までは、3か月も無いからです。要領の悪い私には、経験を積むのにはとても短かったのです。
暗い正月が過ぎて間もなく、圧倒的経験不足を解消するために、長期製図クラスに入ることを決断しました。2月下旬から本番までの長い期間を、製図の為だけに精力を注ぐ覚悟を決めました。
またお前か
初めて長期クラスに顔を出してみると、見たことのある顔ぶれが多くいました。
そうです。あの「ゆかいな仲間たち」がいっぱいいたのです。
またお前か!
こうして、ゆかいな仲間たちと再び製図試験に向けて、作図を続けていくことになりました。
製図試験本番(2度目)
2度目の製図試験の本番を迎えました。会場は、昨年と同じところを指定しました。この方が、気持ちに余裕が出ると思ったからです。
毎度のように、学校がチャーターしたバスに乗り、試験会場へと向かいました。到着して席に着き、鼻歌を歌ったり、周りを見渡して可愛い子探しを行ったり、気持ちを落ち着かせることに努めました。
おにぎりを頬張り、お茶を飲み、トイレに立ち上がったりしたことが良かったのか、去年と比べてかなり気持ちに落ち着きがありました。
しかし、そこは建築士試験。
またしても私は度肝を抜かれてしまったのでした。
またやられた
試験官が問題用紙を教室に持ってきたとき、私は目を疑いました。なんと、課題文の大きさが例年の2倍(A3判 → A2判)になっていたのです。
エスキス用紙は、例年通りまっさらなものに戻っていたのですが、課題文に関しては意味が分かりませんでした。
課題文を眺めていると、衝撃を受けました。いつも、課題文の冒頭に小さく印刷されていた敷地図は、A2判の右上1/4を埋め尽くす大きさとなっていました。昨年、エスキス用紙に印刷されていたものが、課題文に戻って印刷されるようになった感じです。
課題文が大きくなったことは、驚きではありましたが、もっと私を困らせたことは、課題文の置き場所が定まらなかったことでした。例年通りのA3判であれば、平行定規の左半分に課題文を置き、右半分にエスキス用紙を置く流れで行くつもりでした。
しかし、課題文がA2判になると、その方式を採用するのが難しかったのです。課題文を半分に折ることを試しましたが、注意しないと読み落としを招く可能性が高かったのです。こうして、2度目の試験も、試験側にやられた感じで始まりました。
近年の建築士試験は、このようなトリッキーな出題が増えてきている印象を受けます。
飲めないウィダー
私は、いつも「ウィダーINゼリー」を携帯し、長丁場で小腹が減った際の対策として、「10秒チャージ」を取っていました。
ところが、先に説明した課題文が2倍の大きさになったことや、課題文の意味がなかなか理解できない箇所があったりと、時間をどんどん浪費していきました。自分が想定していた時間配分が、出だしから狂わされる結果となり、気が付くとウィダーを飲むことを忘れていました。
やっとウィダーを飲むことが出来たのは、試験が終了してからの事でした。なんと、飲み物を飲むことも忘れていたのです。それほどに焦らされたのを覚えています。
試験終了後(2度目)
試験が終了して程なく、疲労困憊の状態でしたが、バスに乗り学校への帰路につきました。
バスの車内では、お互いに内容を確認し合い、「えっ!?そんな記述あった??」などの問答合戦が繰り広げられていました。
学校に戻ると、約半年に渡って作図訓練を行ってきた最後の集大成となる復元作業のみを残すだけとなりました。
みんなで同時に作図を描き始め、おしゃべりを楽しみながら、黙々と復元図作成に勤しみました。
合格発表(2度目)
合格発表が日に日に近付くに連れ、仕事に手が付かなくなってきます。1度目の試験より、多少手ごたえを感じてはいましたが、周囲には五分五分くらいの確率だと話していました。
合格発表が試験元のHPに掲示される前から、アクセスがしにくくなるのを知っていたため、午後のアクセスがしやすくなる時間に確かめようと決めていました。ですが本当は、合格発表を見るのが怖かったのです。
真面目に仕事している風を装いつつ、合格発表の葛藤と戦っていた頃、滅多にならない携帯電話のバイブレーションが震えたのです。
直感で、「うわぁ…。営業の人だ」と確信しました。営業の人が電話をかけてくるということは、そういうことかと落胆しつつ電話に出ました。
営業 :「合格発表をご覧になられましたか?」
とろかふ。:「いいえ。まだです。午後に見ようと思いまして。」
営業 :「とろかふ。さんには長いこと総合資格に在籍していただきましたが…。」
とろかふ。:「(はぁ…。やっぱりだめだったか…。)」
営業 :「ご卒業おめでとうございます!」
とろかふ。:「ふぇっ!? 本当ですか!嘘では無いですよね!?」
万が一、嘘を付かれていたらかなわないので、午後に見る予定だった合格発表を、電話を切った直後に確認しました。
とろかふ。:「あっ、あった…。」
その日は、仕事をする気分になれませんでした。嬉しすぎて、「もう帰りたい」と何度も言っていました。
こうして、私の約3年にも渡る受験生活に幕を閉じたのでした。
明るい正月
1年前には、迎えることが出来なかった明るい正月を迎えることができ、心底正月を満喫していました。
それもそのはず、一級を取得するまでに、こんなに時間が掛かるとは考えもしなかったのです。
「頑張ってきて良かった」
そう思いました。
おわりに
以上が、製図試験記になります。なるべく内容を短くまとめるために、大分端折りました。これでも対策になってしまった気がしますが。全部を記録にすると、ハリーポッター1冊分くらい書けそうな気がしています。読書感想分は苦手なくせに、自叙伝はスラスラ書けてしまうのですね。
最後までご覧頂き、ありがとうございます。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです