どうも! とろかふ。です。
建築士製図試験を受ける方の中には、描いた図面が汚れていたり、他人の図面と比較すると劣っているように感じる方も居られるのではないでしょうか。
そのような方に向けて、少しでも良い図面が描けるように、管理人が実際に試した手法を基に、経験談やその効果をお伝えして参ります。
この記事は、以下の方々に向けて書いております。
・見栄えの良い図面を描きたい など
は、文字が多めです。普段あまりしゃべらないくせに、こういう場では饒舌になってしまいます。ちょっと面倒かもしれませんが、最後までお付き合いを頂けると嬉しいです。
目次
きれいな図面を描くために
見栄えが良く、図面がきれいだと、採点する側にも良いアピールになるはずですし、自分の図面に対するモチベーションも上がります。
モチベーションが上がれば、図面の精度がどんどん向上し、より見栄えのする図面が描けるようになります。
このサイクルを、できるだけ早い内に実現することが大事です。
見栄えの良い図面とは?
そもそも、「見栄えの良い図面」とは、一体何なのでしょうか。おそらくこの問いには正解がたくさんあり、人それぞれで異なった解釈がなされると思います。
私にとって「見栄えの良い図面」とは、図面が過度に黒ずんでおらず、少し離れた所から図面を眺めた時、「立体的に浮き出ているように見える図面」と定義しています。
立体的に浮き出た図面とは?
「立体的に浮き出た図面」と聞いて、ピンと来ない方も居られるのではないでしょうか。
特に、製図試験を初めて受ける方にとって、手書きでの作図は、ほぼ初めての経験となります。手書きの図面を見る機会が少ないと、イメージし辛いことは想像に難くありません。
図面を描くとわかってくるのですが、二次元の図面が描き方によって、まるで三次元で描いたかのように見えるのです。
それを「立体的に浮き出た図面」と呼ぶことにしています。
立体的に浮き出た図面が良い理由
「立体的に浮き出た図面」が良い理由は、図面を並べて置いてみるとよくわかります。
図面を並べ、少し離れたところから眺めると、明らかに図面の訴え方が違うのです。他の図面よりインパクトがあり、上手な図面に見えるのです。
図面が上手に見えるということは、採点をする側は良い点を付けたくなるものです。良い点を付けたくなる図面は、言い方は変かもしれませんが、図面にミスがあったとしても多めに見てもらいやすくなります。
立体的に浮き出た図面を描くには?
では、「立体的に浮き出た図面」を描くにはどうしたら良いのでしょうか。
それにはまず、柱や外壁線、内壁線などの「建物の核」となる構造部材の線を太く濃く描くことが重要です。「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、これをするだけでも柱や壁の線が強調され、「立体的に浮き出た図面」に見えるようになります。
さらに、見え掛かり線*を細く、かといって薄くない程度にしっかりと描くことを意識してください。このように「太く濃い部分」と「細く薄くない部分」を描き分けて、図面にメリハリをつけることで、立体感が際立ちます。
見え掛かり線(みえがかりせん)とは
建築の部材の、目に見える部分。
コトバンク | 見え掛かり線
太く濃い線を描くには
作図の教科書などをご覧の方は、既にご存知かもしれません。太く濃い線を描くには、ペンを直角に立てることが重要です。
このように、ペンを直角に立てることで、シャー芯の図面に接する面積が増え、強い力を掛けても折れづらくなります。この状態で柱や壁の線を描くようにすると、太く濃い線が楽に描けるようになります。
細く薄くない線を引くには
細く薄くない線を引くには、ペンを寝かせて持つとうまく引けます。
さらに、回転させながら線を引くと、常に芯が尖った状態が保たれるため、次に描き始める線が描きやすくなります。
回転させながら描くのは、最初は難しいと感じますが、慣れてくると、回転させながらでないと落ち着かなくなります。私だけかもしれませんが…。
ちなみに、どうしても回転が出来なさそうという方は、芯が勝手に回転をしてくれる「クルトガ」を使うのも良いと思います。
私も、初めこそクルトガを使っていましたが、結局は製図用のペンを回転させながら描く方式に落ち着きました。
スカスカな図面はNG
もし、完成した図面があるなら、他の人が描いた図面と比較してみてください。すると、同じ図面を描いているはずなのに、描き方や文字の大きさによって、図面がスカスカに見えることに気付くはずです。
図面がスカスカだと、空間が間延びしてしまい、きれいに描いているつもりでも、そのスカスカな部分に目が行ってしまいます。
スカスカであるだけで、図面に情報が少ないと錯覚してしまい、下手に見えてしまうのです。
描き方の違いだけで、そのように見られてしまうのは非常にもったいないです。
建築士試験では、建築士としての資質が求められます。採点官側からすれば、情報の少ない図面を見ると、「図面を描くための知識が無く、建築士の資質に欠ける」と判断されかねません。
スカスカな図面を描かないために
では、スカスカな図面を描かないためには、何に気を付ければ良いのでしょうか。
まずは、図面に記載する文字の大きさと書く位置を意識してください。部屋名や寸法などを書く場合には、空間の中央に配置すると見栄え良く、情報が詰まっているように見えます。
久しぶりに手書きを描いたため、見栄えの良い図面になっていないかもしれませんが、実例を見てみると分かると思います。
広い空間の中央に部屋名や寸法を書いた場合と、そうでない場合では、図面のスカスカ感が異なります。後者の方がスカスカに見えますよね
また、文字の大きさが不均等だとなおさら汚く見えます。よって、文字の大きさを均等に書けるように、方眼用紙など用いて、トレーニングを積んでください。
おさらい
・文字の大きさを均等にする
図面を採点してくれる人が居る環境であれば、見栄えの良い図面を描くためのアドバイスを積極的に受けましょう。
消しゴムを使うべからず!
作図を間違えたら、消しゴムを使いたくなりますが、できる限り消しゴムを使わないように、普段から心掛けてください。
きれいな図面を描くためには、図面を描く時間を増やせば良いのですが、製図試験には制限時間があります。制限時間を有効に利用するには、消しゴムを使う時間も短縮したいところです。<\p>
焦って消しゴムを使うと、せっかくきれいに描けた柱や壁の線を消してしまう恐れがあり、図面を黒く汚してしまう原因にも繋がりかねません。
絶対に使うなとは言いませんが、作図中に消しゴムをできる限り使わない習慣を身に着けてください。
手袋のススメ
ここに来て、やっと本題となりますが、私は手袋を着けて図面を描くことをご提案します。
手袋の効果
手袋を着けることで、どのように良い効果があるのでしょうか。
手に蓄積する疲労の緩和
図面を描き続けると、次第に手に疲労が溜まってくることがわかります。疲労が溜まると、ペンを握る手の握力が落ちることで、字の丁寧さや筆圧に悪影響が出てきます。
事実、素手で作図をしていた際、部屋名などの最終的な仕上げ作業をする頃には、握力が低下し、手が震え、ミミズみたいな文字になっていました。
ある日、手袋を付けて図面を描くようにアドバイスを受け、そのとおりに実行したところ、手に疲労が溜まりにくくなることがわかりました。
腰を痛めた時などに、コルセットを着けたことがある方なら、ご理解いただけると思います。コルセットを着けて痛みが和らぐように、手袋を着けるだけで、手に溜まる疲労が緩和されるのです。
私は、利き手にのみ手袋を着けて試験に臨みました。
図面を汚しにくい
そもそも、シャー芯が折れたり削れたりすることによって、図面が汚れることを誰もが経験します。
せっかくきれいに描いている図面の上を素手が何度も往復することで、汚れが広範囲に広がっていき、手も黒鉛色に染まります。その汚れた手でさらに図面を描いていくことになるので、「汚れのスパイラル」から抜け出すことができません。
手袋を着けることで、素手が直接図面に当たることが無くなり、図面が汚れにくくなります。実際に、素手で描いていた時よりも、仕上がった時の図面が、見違えるほどに汚れなくなりました。
戦闘モード
普段、手袋を着けて文字を書いたりすることはないので、装着することに慣れないうちは違和感のオンパレードです。
しかし、慣れてくると良い効果が見えてきます。手袋を着けることで、気持ちが「戦闘モード」に切り替わり、やる気上がることです。やる気が上がれば集中力アップにもつながるはずです。
いずれは、着けていることを忘れるくらい、慣れてください。
どんな手袋が良いのか
手袋は「少しきついかな」と感じる程度の手にフィットする小さめで薄手のものがお勧めです。厚みがありすぎると、ペンを握る際の邪魔になりやすく、細かい作業が難しくなります。
私が使用していた手袋は、100円ショップに売っていたものです。
ペンを持つ三本指の部分が露出しているため、手袋をしていてもペンをしっかりと握ることができます。
また、この手袋には滑り止めが付いているのですが、滑り止めが図面を汚す原因になったり、「なんてなめらか~♪」とは逆に、線を引く手にグリップを与えてしまい、スムーズなペン運びが阻害されてしまうため、手袋を裏返しにして使用していました。
まとめ
・空間の中央に均等な大きさで文字を書く
・手にフィットする手袋を着用する
・消しゴムを使うべからず!
おわりに
以上が、図面をきれいに描く方法の提案となります。図面は、時間をかけて細部にまでこだわれば、いくらでも良いものが描けますが、試験時間は限られています。
限られた試験時間の中で、なるべく時間を掛けずに、きれいな図面を描ける方法を早い内から模索し、体に染み込ませることで、合格に近づくのではないかと考えております。
最後までご覧頂き、ありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。

